アンドロイドの大家
ZENBIの取材で、大阪大学の石黒浩教授を撮影させていただきました。
石黒教授は、CNNの「世界を変える8人の天才」の一人に選ばれたほか、英国コンサルティング会社の「生きている天才100人」の中で、日本人最高の26位に選出されてもいます。
撮影にあたり、著書にも数冊目を通しましたが、たしかに尋常じゃなく面白い。
著書『アンドロイドは人間になれるか』の帯に
「これはもはや哲学だ!」
と書いてありましたが、本当にその通りだと感じました。
むしろ、欧米で哲学的でない人が評価されることはないと思いますし、哲学的であるということと「天才」と評されていることは同じ文脈かもしれないですね。
イシグロイドは何のために
そのように感じる逸話として上記著作の中で面白い箇所があったので、少し転載します。
“小学校5年生のときに、大人から「人の気持ちを考えなさい」と叱られ、僕はこの言葉に衝撃を受けた。
「人の気持ちを考えなさい」
これはいったいどういうことなのか。
(中略)
みなさんは「気持ち」とは何か、「考える」とは何かを説明できるだろうか?
(中略)
だが高校生になっても、疑問はふくらむばかりだった。人とは何か。気持ちとは何か。考えるとはどういうことか。よけいにわからなくなってきた。
僕がいちばんショックだったのは、この難問に、結局だれも答えられない、と気づいたときだ。
こいつら、全然わかってない
わかっていないくせに子どもにえらそうなことを言っているのが、大人だった”
非常に、石黒教授らしい話だな、と思います。
(書いたのはライターの飯田一史さんですが)
表紙に石黒教授と一緒に写っているのは「イシグロイド」と呼ばれる自身のアンドロイドなのですが(有名なマツコ・デラックスのアンドロイド、マツコロイドを作ったのも石黒教授ですよ)、これを作る理由も
“ロボットはすなわち「人の気持を考える」とはどういうことか、そして「人間とは何か」という根源的な問いに対する答えとなる。
つまり、ロボットが「人間の条件」を教えてくれるのだ“
かっこいいなぁ、石黒教授。
美容室の未来
石黒教授のお話は本当に面白くて、横で撮影していて、もっともっとお話を聞きたいな、と思いました。
ので、最後、撮影が終わった後、ZENBIは美容師さんに向けての雑誌なので「美容院における人間の領域ってなんですか?」と最後に聞いてみました。
その答えは「セラピーじゃないですか」とのことでした。
「だって皆さん、心の平穏を求めに来ているんでしょ?」
と仰っていました。
なるほど、と思いましたが、その後「化粧だってそうですよ。あれは心の平穏のためにやっているんでしょ」と仰ったのは、これは、男の私は「明快だなぁ」と気持ちよく理解できましたが、同時に「これは女性からはいろいろ反論あるだろうな」とも思いました(笑)
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